mod_deflate クライアントへ送られる前にコンテンツを圧縮する Extension mod_deflate.c deflate_module

mod_deflate モジュールは DEFLATE 出力フィルタを提供します。これはサーバからの出力を、ネットワークを 通してクライアントに送る前に圧縮することを可能にします。

Filters
圧縮を有効にする
Output Compression

圧縮機能は DEFLATE フィルタ により実装されています。以下のディレクティブはそのディレクティブのある コンテナ中のドキュメントを圧縮するようにします:

SetOutputFilter DEFLATE

よく使われているブラウザでは、すべてのコンテンツに対する 圧縮を扱えるわけではありません。ですから、gzip-only-text/html ノートを 1 にして、html ファイルに対してのみ 圧縮が働くようにした方がよいかもしれません (以下参照) この値を 1 以外の値に設定した場合は無視されます。

通常、特定のMIMEタイプについてのみ圧縮したいのであれば、 AddOutputFilterByType ディレクティブを使用します。次に Apache のドキュメントの html ファイルのみの圧縮を有効にする例を示します。

<Directory "/your-server-root/manual">
AddOutputFilterByType DEFLATE text/html
</Directory>

全てのファイルタイプでの圧縮に問題を抱えているブラウザに対しては、 BrowserMatch ディレクティブを使用して、特定のブラウザに no-gzip ノートをセットし、圧縮が行なわれないようにします。 no-gzipgzip-only-text/html を組み合わせることで上手く対処できます。 この場合、前者が後者をオーバーライドします。 上記の設定例の抜粋を 次に示しますのでご覧下さい。

BrowserMatch ^Mozilla/4 gzip-only-text/html
BrowserMatch ^Mozilla/4\.0[678] no-gzip
BrowserMatch \bMSIE !no-gzip !gzip-only-text/html

まず始めに User-Agent 文字列から Netscape Navigator 4.x であるかどうかを調べます。これらのバージョンでは、 text/html 以外のタイプの圧縮を扱うことができません。 4.06, 4.07, 4.08 は html ファイルの伸張にも問題を抱えています。 ですからこれらに対しては、完全に deflate フィルタをオフにします。

3 番目の BrowserMatch ディレクティブで、推測したユーザーエージェントを修正します。 なぜなら Microsoft Internet Explorer も "Mozilla/4" と特定されますが、 これらは実際には圧縮を扱うことができるからです。 User-Agent ヘッダを "MSIE" (\b は「単語の境界」を意味します) の追加文字で検査して、 これ以前に設定した制限を再び解除します。

DEFLATE フィルタは必ず、PHP や SSI といった RESOURCE フィルタの後になります。 DEFLATE フィルタは内部的なサブリクエストを関知しません。 SetEnv で設定される force-gzip 環境変数がありますが、これは ブラウザの accept-encoding 設定を無視し、圧縮した出力をします。
出力の伸長

mod_deflate モジュールは、gzip 圧縮されたレスポンス 本文を inflate/uncompress するフィルタも提供しています。 この機能を有効にするには、SetOutputFilterAddOutputFilter を使って、 INFLATE フィルタを出力フィルタチェインに挿入します。 例えば次のようにします。

<Location /dav-area>
ProxyPass http://example.com/
SetOutputFilter INFLATE
</Location>

この例では、example.com からの gzip 圧縮された出力を伸長し、 その他のフィルタがさらにその出力を処理できるようにします。

入力の伸張

mod_deflate モジュールは、gzip で圧縮されたリクエスト本体を伸張するフィルタも提供しています。 この機能を有効にするには、SetInputFilterAddInputFilter を使用して、 DEFLATE フィルタを入力フィルタチェインに組み込みます。 例えば次のようになります。

<Location /dav-area>
SetInputFilter DEFLATE
</Location>

この設定であれば、Content-Encoding: gzip ヘッダを含むリクエストが来ると、本体は自動的に伸張されます。 gzip リクエスト本体を送信するブラウザはあまりありません。 しかし、例えば WebDAV クライアントの幾つかなど、特別なアプリケーションでリクエストの 圧縮を実際にサポートしているものもあります。

Content-Length に関する注意

リクエスト本体それ自体を評価する場合は、Content-Length ヘッダを信用しないでください。Content-Length ヘッダは、 クライアントから送信されるデータの長さを反映しているのであって、 伸張されたデータストリームのバイトカウントではありません

Proxy サーバでの扱い

mod_deflate モジュールは Vary: Accept-Encoding HTTP 応答ヘッダを送信して、適切な Accept-Encoding リクエストヘッダを送信するクライアントに対してのみ、 プロクシサーバがキャッシュした応答を送信するように注意を喚起します。 このようにして、圧縮を扱うことのできないクライアントに 圧縮された内容が送られることのないようにします。

もし特別に何かに依存して除外したい場合、例えば User-Agent ヘッダなどに依存している場合、手動で Vary ヘッダを設定して、 追加の制限についてプロクシサーバに注意を行なう必要があります。 例えば User-Agent に依存して DEFLATE を追加する典型的な設定では、次のように追加することになります。

Header append Vary User-Agent

リクエストヘッダ以外の情報 (例えば HTTP バージョン) に依存して圧縮するかどうか決める場合、 Vary ヘッダを * に設定する必要があります。 このようにすると、仕様に準拠したプロクシはキャッシュを全く行なわなくなります。

Header set Vary *
DeflateFilterNote ロギング用に圧縮比をメモに追加 DeflateFilterNote [type] notename server config virtual host type is available since Apache 2.0.45

DeflateFilterNote ディレクティブは 圧縮比に関するメモがリクエストに付加されることを指定します。 メモ (note) の名前はディレクティブに指定された値です。 メモはアクセスログに 値を記録し、統計を取る目的にも使えます。

DeflateFilterNote ratio

LogFormat '"%r" %b (%{ratio}n) "%{User-agent}i"' deflate
CustomLog logs/deflate_log deflate

ログからもっと精密な値を抽出したい場合は、type 引数を使用して、データタイプをログのメモとして残すように指定できます。 type は次のうちの一つです。

Input
フィルタの入力ストリームのバイトカウントをメモに保存する。
Output
フィルタの出力ストリームのバイトカウントをメモに保存する。
Ratio
圧縮率 (出力 / 入力 * 100) をメモに保存する。 type 引数を省略した場合は、これがデフォルトとなります。

まとめると、次のようにログを取ることになるでしょう。

精密なログ採取 DeflateFilterNote Input instream
DeflateFilterNote Output outstream
DeflateFilterNote Ratio ratio

LogFormat '"%r" %{outstream}n/%{instream}n (%{ratio}n%%)' deflate
CustomLog logs/deflate_log deflate
mod_log_config
DeflateBufferSize zlib が一度に圧縮する塊の大きさ DeflateBufferSize value DeflateBufferSize 8096 server config virtual host

DeflateBufferSize ディレクティブは zlib が一度に圧縮する塊の大きさをバイト単位で指定します。

DeflateWindowSize Zlib の圧縮用ウィンドウの大きさ DeflateWindowSize value DeflateWindowSize 15 server config virtual host

DeflateWindowSize ディレクティブは zlib の圧縮用ウィンドウ (訳注: zlib で使用される履歴バッファ) の大きさを指定します (1 から 15 の間の値)。 一般的に大きなウィンドウサイズを使用すると圧縮率が向上します。 (訳注: 2 を底とする対数の値になります。 8 から 15 にするのが良いでしょう。)

DeflateMemLevel zlib が圧縮に使うメモリのレベルを指定 DeflateMemLevel value DeflateMemLevel 9 server config virtual host

DeflateMemLevel ディレクティブは zlib が圧縮に使うメモリのレベルを設定します (1 から 9 の間の値)。 (訳注: 2 を底とする対数の値になります。 8 程度が良いでしょう。)

DeflateCompressionLevel 出力に対して行なう圧縮の程度 DeflateCompressionLevel value Zlib のデフォルト server configvirtual host This directive is available since Apache 2.0.45

DeflateCompressionLevel ディレクティブは 圧縮の程度を設定します。大きな値では、より圧縮が行なわれますが、 CPU 資源を消費します。

値は 1 (低圧縮) から 9 (高圧縮) です。