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5
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21 -->
22
23 <manualpage metafile="ssl_intro.xml.meta">
24 <parentdocument href="./">SSL/TLS</parentdocument>
25
26   <title>SSL/TLS 暗号化: はじめに</title>
27
28 <summary>
29 <blockquote>
30 <p>標準規格の良い所は、たくさんの規格から選べるということだ。
31 そして、もし本当にどの規格も気に入らなければ、
32 一年待つだけで探していた規格が現れる。</p>
33
34 <p class="cite">-- <cite>A. Tanenbaum</cite>, "Introduction to
35 Computer Networks"</p>
36 </blockquote>
37
38 <p>
39 入門ということで、この章は Web、HTTP、Apache に通じている
40 読者向けですが、セキュリティ専門家向けではありません。
41 SSL プロトコルの決定的な手引きであるつもりはありません。
42 また、組織内の認証管理のための特定のテクニックや、
43 特許や輸出規制などの重要な法的な問題についても扱いません。
44 むしろ、更なる研究への出発点として色々な概念、定義、例を並べることで
45 <module>mod_ssl</module> のユーザに基礎知識を提供する事を目的としています。</p>
46
47 <p>ここに示された内容は主に、原著者の許可の下
48 The Open Group Research Institute の <a
49 href="http://home.earthlink.net/~fjhirsch/">Frederick J. Hirsch</a>
50  氏の記事 <a
51 href="http://home.earthlink.net/~fjhirsch/Papers/wwwj/">
52 Introducing SSL and Certificates using SSLeay</a> を基にしています。
53 氏の記事は <a
54 href="http://www.ora.com/catalog/wjsum97/">Web Security: A Matter of
55 Trust</a>, World Wide Web Journal, Volume 2, Issue 3, Summer 1997
56 に掲載されました。
57 肯定的な意見は <a
58 href="mailto:hirsch@fjhirsch.com">Frederick Hirsch</a> 氏
59  (元記事の著者) へ全ての苦情は <a
60 href="mailto:rse@engelschall.com">Ralf S. Engelschall</a> (
61 <module>mod_ssl</module> の作者) へお願いします。
62 <transnote>訳については <a
63 href="mailto:apache-docs@ml.apache.or.jp">
64 Apache ドキュメント翻訳プロジェクト</a>
65 へお願いします。</transnote></p>
66 </summary>
67
68 <section id="cryptographictech">
69 <title>暗号化技術</title>
70 <p>SSL を理解するには、暗号アルゴリズム、
71 メッセージダイジェスト関数(別名: 一方向関数、ハッシュ関数)、
72 電子署名などへの理解が必要です。
73 これらの技術は本が丸ごと必要な題目で
74 (例えば [<a href="#AC96">AC96</a>] を参照)、
75 プライバシー、信用、認証などの技術の基礎となっています。</p>
76
77 <section id="cryptographicalgo">
78 <title>暗号アルゴリズム</title>
79     <p>例えば、アリスが送金のために銀行にメッセージを送りたいとします。
80     口座番号や送金の金額が含まれるため、
81     アリスはそのメッセージを秘密にしたいと思います。
82     解決方法の一つは暗号アルゴリズムを使って、メッセージを
83     復号されるまで読むことができない暗号化された
84     形態に変えてしまうことです。
85     その形態になると、
86     メッセージは秘密の鍵によってのみ復号化することができます。
87     鍵なしでは、メッセージは役に立ちません。
88     良い暗号アルゴリズムは、侵入者が元のテキストを解読することを
89     非常に難しくするため、努力が割に合わなくさせます。</p>
90
91     <p>暗号アルゴリズムには
92     従来型と公開鍵の二つの種類があります。</p>
93
94     <dl>
95     <dt>従来型暗号</dt>
96     <dd>対称暗号としても知られ、
97     送信者と受信者が鍵を共有することが必要です。
98     鍵とは、メッセージを暗号化したり復号するのに使われる秘密
99     の情報のことです。
100     この鍵が秘密になっている限り、送信者と受信者以外は誰もメッセージを読
101     むことができません。
102     もしも、アリスと銀行が秘密の鍵を知っているなら、
103     彼らはお互いに秘密のメッセージを送ることができるでしょう。
104     ただし交信の前に、事前に内密に鍵を共有するという作業自体は難題かもしれません。</dd>
105
106     <dt>公開鍵暗号</dt>
107     <dd>非対称暗号としても知られ、
108     メッセージを暗号化することのできる二つの鍵
109     を使用するアルゴリズムを定義することで鍵のやり取りの問題を解決
110     します。
111     もし、ある鍵が暗号化に使われたなら、
112     もう片方の鍵で復号しなければいけません。
113     この方式によって、一つの鍵を公表して(公開鍵)、
114     もう片方を秘密にしておく(秘密鍵)だけで、
115     安全なメッセージを受け取ることができます。</dd>
116     </dl>
117
118     <p>公開鍵を使って誰もがメッセージを暗号化できますが、秘
119     密鍵の持ち主だけがそれを読むことができます。
120     この方法で、銀行の公開鍵を使って暗号化することで、
121     アリスは秘密のメッセージを送ることができます。
122     銀行のみが送られたメッセージを復号することができます。</p>
123 </section>
124
125 <section id="messagedigests">
126 <title>メッセージダイジェスト</title>
127     <p>アリスはメッセージを秘密にすることができますが、
128     誰かが例えば自分に送金するようにメッセージを変更したり、
129     別のものに置き換えてしまうかもしれないという問題があります。
130     アリスのメッセージだという信憑性を保証する方法の一つは、
131     メッセージの簡潔なダイジェストを作って、それも銀行に送るというものです。
132     メッセージを受け取ると銀行側でもダイジェストを作成し、
133     アリスが送ったダイジェストと比べます。もし一致したなら、
134     受け取ったメッセージは無傷だということになります。</p>
135
136     <p>このような要約は<dfn>メッセージダイジェスト</dfn>、
137     <em>一方行関数</em>、または<em>ハッシュ関数</em>と呼ばれます。
138     メッセージダイジェストは長い可変長のメッセージから
139     短い固定長の表現を作るのに使われます。
140     ダイジェストアルゴリズムはメッセージから
141     一意なダイジェストを生成するように作られています。
142     メッセージダイジェストはダイジェストから元のメッセージを
143     判定するのがとても難しいようにできていて、
144     同じ要約を作成する二つのメッセージを探すのは(理論上)不可能です。
145     これによって、要約を変更することなくメッセージを置き換えられる
146     可能性を排除しています。</p>
147
148     <p>アリスへのもう一つの問題は、このダイジェストを安全に送る方法を探すことです。
149     ダイジェストが安全に送られればダイジェストの信憑性が保障されて、
150     ダイジェストの信憑性をもってオリジナルメッセージの信憑性を得ることができます。
151     ダイジェストを安全に送った場合にのみ、そのメッセージの
152     信憑性が得られます。</p>
153
154     <p>ダイジェスト安全に送る方法の一つは、電子署名に含める方法です。</p>
155 </section>
156
157 <section id="digitalsignatures"><title>電子署名</title>
158 <p>アリスが銀行にメッセージを送ったとき、
159 侵入者が彼女になりすまして彼女の口座への取引を申請できないように、
160 銀行側ではメッセージが本当に彼女からのものか確実に分かるようにしなければなりません。
161 アリスによって作成されて、メッセージに含まれた
162 <em>電子署名</em>がここで役に立ちます。</p>
163
164 <p>電子署名はメッセージのダイジェストやその他の情報(処理番号など)を
165 送信者の秘密鍵で暗号化することで作られます。
166 誰もが公開鍵を使って署名を<em>復号</em>することができますが、
167 送信者のみが秘密鍵を知っています。
168 これは送信者のみが署名しえたことを意味します。
169 ダイジェストを電子署名に含むことは、
170 その署名がそのメッセージのみに有効であることを意味します。
171 これは、誰もダイジェストを変えて署名をすることができないため、
172 メッセージの信用も保証します。</p>
173
174 <p>侵入者が署名を傍受して後日に再利用するのを防ぐため
175 電子署名には一意な処理番号が含まれます。
176 これは、アリスがそんなメッセージは送っていないと言う詐欺
177 から銀行を守ります。
178 彼女だけが署名しえたからです。(否認防止)</p>
179 </section>
180 </section>
181 <!-- /cryptographictech -->
182
183 <section id="certificates">
184 <title>証明書</title>
185 <p>アリスは秘密のメッセージを銀行に送り、
186 署名をして、メッセージの信用を保証することができるおうになりましたが、
187 通信している相手が本当に銀行なのか確かめなくてはいけません。
188 つまり彼女が使おうとしている公開鍵が、銀行の秘密鍵と対になっていて、
189 侵入者の秘密鍵と対になっているわけではないことを
190 確かめなくてはいけないことを意味しています。
191 同様に銀行は、メッセージの署名が本当にアリスの持っている
192 秘密鍵で署名された署名かを確認する必要があります。</p>
193
194 <p>もし両者に身元を証明し、公開鍵を確認し、また信頼された機関が署名
195 した証明書があれば、両者とも通信相手について正しい相手だと
196 確信することができます。
197 そのような信頼された機関は<em>認証局</em>
198  (Certificate Authority または CA) と呼ばれ、
199 証明書 (certificate) が認証 (authentication) に使われます。</p>
200
201 <section id="certificatecontents">
202 <title>証明書の内容</title>
203     <p>証明書は公開鍵と個人、サーバ、その他の主体の実在の身元を
204     関連付けます。
205     <a href="#table1">表1</a>に示されるように証明対象の情報は
206     身元証明の情報(識別名)と公開鍵が含まれます。
207     証明書はまた、認証局の身元証明と署名、そして証明書の有効期間を
208     含みます。
209     シリアルナンバーなどの認証局の管理上の情報や
210     その他の追加の情報が含まれているかもしれません。</p>
211
212     <section id="table1">
213     <title>表1: 証明書情報</title>
214     <table>
215     <columnspec><column width=".35"/><column width=".35"/>
216     </columnspec>
217     <tr><th>証明対象</th>
218         <td>識別名、公開鍵</td></tr>
219     <tr><th>発行者</th>
220         <td>識別名、公開鍵</td></tr>
221     <tr><th>有効期間</th>
222         <td>開始日、失効日</td></tr>
223     <tr><th>管理情報</th>
224         <td>バージョン、シリアルナンバー</td></tr>
225     <tr><th>拡張情報</th>
226         <td>基本的な制約、ネットスケープフラッグ、その他</td></tr>
227     </table>
228     </section>
229
230     <p>識別名(ディスティングイッシュ・ネーム)は特定の状況における
231     身分証明を提供するのに使われています。例えば、ある人は
232     私用と会社とで別々の身分証明を持つかもしれません。
233     
234     識別名は X.509 標準規格 [<a
235     href="#X509">X509</a>] で定義されています。
236     X.509 標準規格は、項目、項目名、そして項目の略称を定義しています。(<a href="#table2">表
237     2</a> 参照)</p>
238
239     <section id="table2">
240     <title>表 2: 識別名情報</title>
241     <table border="1">
242     <columnspec><column width=".25"/><column width=".15"/>
243       <column width=".3"/><column width=".25"/></columnspec>
244     <tr><th>識別名項目</th>
245         <th>略称</th>
246         <th>説明</th>
247         <th>例</th></tr>
248     <tr><td>Common Name (コモンネーム)</td>
249         <td>CN</td>
250         <td>認証される名前<br />
251         SSL接続するURL</td>
252         <td>CN=www.example.com</td></tr>
253     <tr><td>Organization or Company (組織名)</td>
254         <td>O</td>
255         <td>団体の正式英語組織名</td>
256         <td>O=Example Japan K.K.</td></tr>
257     <tr><td>Organizational Unit (部門名)</td>
258         <td>OU</td>
259         <td>部署名など</td>
260         <td>OU=Customer Service</td></tr>
261     <tr><td>City/Locality (市区町村)</td>
262         <td>L</td>
263         <td>所在してる市区町村</td>
264         <td>L=Sapporo</td></tr>
265     <tr><td>State/Province (都道府県)</td>
266         <td>ST</td>
267         <td>所在してる都道府県</td>
268         <td>ST=Hokkaido</td></tr>
269     <tr><td>Country(国)</td>
270         <td>C</td>
271         <td>所在している国名の ISO コード<br />
272         日本の場合 JP
273         </td>
274         <td>C=JP</td></tr>
275     </table>
276     </section>
277
278     <p>認証局はどの項目が省略可能でどれが必須かの方針を定義する
279     かもしれません。項目の内容についても認証局や証明書のユーザからの
280     要件があるかもしれません。
281     例えばネットスケープのブラウザは、サーバの証明書の
282      Common Name (コモンネーム)がサーバのドメイン名の
283      <code>*.snakeoil.com</code> 
284     というようなワイルドカードのパターンにマッチすること
285     を要求します。</p>
286
287     <p>バイナリ形式の証明書は ASN.1 表記法
288      [<a href="#X208">X208</a>] [<a href="#PKCS">PKCS</a>] で
289     定義されています。
290     この表記法は内容をどのように記述するかを定義し、
291     符号化の規定がこの情報がどのようにバイナリ形式に変換されるかを
292     定義します。
293     証明書のバイナリ符号化は Distinguished Encoding
294     Rules (DER) で定義され、それはより一般的な Basic Encoding Rules
295     (BER) に基づいています。
296     バイナリ形式を扱うことのできない送信では、
297     バイナリ形式は Base64 符号化 [<a href="#MIME">MIME</a>] で
298     ASCII 形式に変換されることがあります。
299     開始デリミタ行と終了デリミタ行で囲まれた、この形式のことを
300     PEM ("Privacy Enhanced Mail") 符号化された証明書と言います。</p>
301
302     <example>
303     <title>PEM 符号化された証明書の例 (example.crt)</title>
304     <pre>-----BEGIN CERTIFICATE-----
305 MIIC7jCCAlegAwIBAgIBATANBgkqhkiG9w0BAQQFADCBqTELMAkGA1UEBhMCWFkx
306 FTATBgNVBAgTDFNuYWtlIERlc2VydDETMBEGA1UEBxMKU25ha2UgVG93bjEXMBUG
307 A1UEChMOU25ha2UgT2lsLCBMdGQxHjAcBgNVBAsTFUNlcnRpZmljYXRlIEF1dGhv
308 cml0eTEVMBMGA1UEAxMMU25ha2UgT2lsIENBMR4wHAYJKoZIhvcNAQkBFg9jYUBz
309 bmFrZW9pbC5kb20wHhcNOTgxMDIxMDg1ODM2WhcNOTkxMDIxMDg1ODM2WjCBpzEL
310 MAkGA1UEBhMCWFkxFTATBgNVBAgTDFNuYWtlIERlc2VydDETMBEGA1UEBxMKU25h
311 a2UgVG93bjEXMBUGA1UEChMOU25ha2UgT2lsLCBMdGQxFzAVBgNVBAsTDldlYnNl
312 cnZlciBUZWFtMRkwFwYDVQQDExB3d3cuc25ha2VvaWwuZG9tMR8wHQYJKoZIhvcN
313 AQkBFhB3d3dAc25ha2VvaWwuZG9tMIGfMA0GCSqGSIb3DQEBAQUAA4GNADCBiQKB
314 gQDH9Ge/s2zcH+da+rPTx/DPRp3xGjHZ4GG6pCmvADIEtBtKBFAcZ64n+Dy7Np8b
315 vKR+yy5DGQiijsH1D/j8HlGE+q4TZ8OFk7BNBFazHxFbYI4OKMiCxdKzdif1yfaa
316 lWoANFlAzlSdbxeGVHoT0K+gT5w3UxwZKv2DLbCTzLZyPwIDAQABoyYwJDAPBgNV
317 HRMECDAGAQH/AgEAMBEGCWCGSAGG+EIBAQQEAwIAQDANBgkqhkiG9w0BAQQFAAOB
318 gQAZUIHAL4D09oE6Lv2k56Gp38OBDuILvwLg1v1KL8mQR+KFjghCrtpqaztZqcDt
319 2q2QoyulCgSzHbEGmi0EsdkPfg6mp0penssIFePYNI+/8u9HT4LuKMJX15hxBam7
320 dUHzICxBVC1lnHyYGjDuAMhe396lYAn8bCld1/L4NMGBCQ==
321 -----END CERTIFICATE-----</pre>
322     </example>
323 </section>
324
325 <section id="certificateauthorities">
326 <title>認証局</title>
327     <p>証明書を承認する前に、証明書要求に記載されている情報を確認し、
328     認証局は鍵の所有者の身元を確認します。
329     例えば、アリスが個人証明書を申請したとすると、
330     認証局はアリスが証明書の申請が主張する通りの
331     当の本人だということを確認しなくてはいけません。</p>
332
333     <section id="certificatechains">
334     <title>証明書の連鎖</title>
335         <p>認証局は他の認証局への証明書を発行することができます。
336         未知の証明書を調べる時に、アリスはその証明書の発行者
337         に自信が持てるまで、発行者の証明書を
338         その上位階層の認証局をたどって調べる必要があります。
339         「悪質な」証明書の危険性を減らすため、
340         彼女は限られた連鎖の発行者のみ信頼するように
341         決めることもできます。</p>
342     </section>
343
344     <section id="rootlevelca">
345     <title>最上位認証局の作成</title>
346         <p>前に述べたように、全ての証明書について、
347         最上位の認証局(CA)までそれぞれの発行者が
348         対象の身元証明の有効性を明らかにする必要があります。
349         問題は、誰がその最上位の認証機関の証明書を保証するのか、
350         ということです。
351         このような場合に限り、証明書は「自己署名」されます。
352         ブラウザには、とてもよく知られている認証局が初期登録されていますが、
353         自己署名された証明書を信用する際には
354         細心の注意が必要です。
355         最上位認証局が公開鍵を広く公表することで、
356         その鍵を信頼するリスクを低くすることができます。
357         もし、他人がその認証局になりすました時に、それが露見しや
358         すいからです。</p>
359
360         <p><a href="http://www.thawte.com/">Thawte</a> 
361         や <a href="http://www.verisign.com/">VeriSign</a> 
362         のような多くの会社が認証局として開設しました。
363         このような会社は以下のサービスを提供します:</p>
364
365         <ul>
366         <li>証明書申請の確認</li>
367         <li>証明書申請の処理</li>
368         <li>証明書の発行と管理</li>
369         </ul>
370
371         <p>自分で認証局を作ることも可能です。
372         インターネット環境では危険ですが、
373         個人やサーバの身元証明が簡単に行える組織の
374         イントラネット内では役に立つかもしれません。</p>
375     </section>
376
377     <section id="certificatemanagement">
378     <title>証明書管理</title>
379         <p>認証局の開設は徹底した管理、技術、運用の体制を必要とする
380         責任のある仕事です。
381         認証局は証明書を発行するだけでなく、
382         管理もしなければなりません。
383         具体的には、証明書がいつまで有効であり続けるかを決定し、更新し、
384         また過去発行されて失効した証明書のリスト
385         (Certificate Revocation Lists または CRL)
386         を管理しなければいけません。</p>
387         
388         <p>例えばアリスが過去、会社の社員であることを証明する証明書を持っていたが、
389         現在は退職していた際、その証明書は失効されなければなりません。
390         証明書は次々と人に渡されていくものなので、
391         証明書そのものから、それが取り消されたか判断することは
392         不可能です。
393         よって、証明書の有効性を調べるときには、
394         認証局に連絡して CRL を照合する必要があります。
395         普通この過程は自動化されているものではありません。</p>
396
397         <note><title>注意</title>
398         <p>ブラウザに信用できる認証局としてデフォルトで登録されていない
399         認証局を使おうとした場合、
400         認証局の証明書をブラウザに読み込んで、
401         ブラウザがその認証局によって署名されたサーバの証明書を
402         有効にする必要があります。
403         一度読み込まれると、その認証局によって署名された全ての
404         証明書を受け入れるため、危険を伴います。</p>
405         </note>
406     </section>
407 </section>
408 <!-- /certificateauthorities -->
409 </section>
410 <!-- /certificates -->
411
412 <section id="ssl">
413 <title>Secure Sockets Layer (SSL)</title>
414 <p>Secure Sockets Layer プロトコルは信頼性のあるコネクション型の
415 ネットワーク層のプロトコル(例えば、TCP/IP)と
416 アプリケーション層のプロトコル(例えば、HTTP)
417 の間に置くことができます。
418 SSL は、相互認証によってサーバとクライアント間の安全な通信を、
419 電子署名によってデータの完全性を、
420 そして暗号化によってプライバシを提供します。</p>
421
422 <p>SSL プロトコルは暗号化、ダイジェスト、電子署名について、
423 様々なアルゴリズムをサポートするようにできています。
424 こうすることで、法や輸出の規制を考慮に入れて、サーバに合わせた
425 アルゴリズムを選ぶことができ、また、新しいアルゴリズムを
426 利用していくことも可能にしています。
427 アルゴリズムの選択はプロトコルセッション開始時に
428 サーバとクライアント間で取り決められます。</p>
429
430 <section id="table4">
431 <title>表4: SSL プロトコルのバージョン</title>
432     <table border="1">
433     <columnspec><column width=".15"/><column width=".2"/>
434      <column width=".30"/><column width=".25"/></columnspec>
435     <tr><th>バージョン</th>
436         <th>出典</th>
437         <th>説明</th>
438         <th>ブラウザのサポート</th></tr>
439     <tr><td>SSL v2.0</td>
440         <td>Vendor Standard (Netscape Corp. より) [<a href="#SSL2"
441         >SSL2</a>]</td>
442         <td>実装が現存する初めての SSL プロトコル</td>
443         <td>- NS Navigator 1.x/2.x<br />
444         - MS IE 3.x<br />
445         - Lynx/2.8+OpenSSL</td></tr>
446     <tr><td>SSL v3.0</td>
447         <td>Expired Internet Draft (Netscape Corp. より) [<a href="#SSL3"
448         >SSL3</a>]</td>
449         <td>特定のセキュリティ攻撃を防ぐための改訂、
450         非RSA 暗号の追加、証明書階層構造のサポート</td>
451         <td>- NS Navigator 2.x/3.x/4.x<br />
452         - MS IE 3.x/4.x<br />
453         - Lynx/2.8+OpenSSL</td></tr>
454     <tr><td>TLS v1.0</td>
455         <td>Proposed Internet Standard (IETF より) [<a href="#TLS1"
456         >TLS1</a>]</td>
457         <td>MAC レイヤを HMAC へ更新、ブロック暗号の block
458         padding、メッセージ順序の標準化、警告文の充実などのため
459         SSL 3.0 を改訂。</td>
460         <td>- Lynx/2.8+OpenSSL</td></tr>
461     </table>
462 </section>
463
464 <p><a href="#table4">表4</a>に示されるとおり、SSL プロトコルには
465 いくつものバージョンがあります。
466 表にも書かれているように、SSL 3.0 の利点の一つは
467 証明書階層構造をサポートすることです。
468 この機能によって、サーバは自分の証明書に加えて、
469 発行者の証明書をブラウザに渡すことができます。
470 証明書階層構造によって、
471 ブラウザに発行者の証明書が直接登録されていなくても、
472 階層の中に含まれていれば、
473 ブラウザはサーバの証明書を有効化することができます。
474 SSL 3.0 は現在 Internet Engineering Task Force (IETF) 
475 によって開発されている Transport Layer Security 
476 [<a href="#TLS1">TLS</a>] プロトコル標準規格の基礎となっています。</p>
477
478 <section id="session">
479 <title>セッションの確立</title>
480     <p><a href="#figure1">図1</a>で示されるように、
481     セッションの確立はクライアントとサーバ間の
482     ハンドシェークシークエンスによって行なわれます。
483     サーバが証明書を提供するか、クライアントの証明書をリクエストするか
484     というサーバの設定により、このシークエンスは異なるものとなります。
485     暗号情報の管理のために、追加のハンドシェーク過程が必要になる
486     場合もありますが、この記事では
487     よくあるシナリオを手短に説明します。
488     全ての可能性についは、SSL 仕様書を参照してください。</p>
489
490     <note><title>注意</title>
491     <p>一度 SSL セッションが確立すると、セッションを再利用することで、
492     セッションを開始するための多くの過程を繰り返すという
493     パフォーマンスの損失を防ぎます。
494     そのため、サーバは全てのセッションに一意なセッション識別名を
495     割り当て、サーバにキャッシュし、クライアントは次回から
496     (識別名がサーバのキャッシュで期限切れになるまでは)
497     ハンドシェークなしで接続することができます。</p>
498     </note>
499
500     <p class="figure">
501     <img 
502     src="../images/ssl_intro_fig1.gif" alt="" width="423" height="327" /><br />
503     <a id="figure1" name="figure1"><dfn>図1</dfn></a>: SSL
504     ハンドシェークシークエンス概略</p>
505
506     <p>サーバとクライアントで使われる
507     ハンドシェークシークエンスの要素を以下に示します:</p>
508
509     <ol>
510     <li>データ通信に使われる暗号スイートの取り決め</li>
511     <li>クライアントとサーバ間でのセッション鍵の確立と共有</li>
512     <li>オプションとして、クライアントに対するサーバの認証</li>
513     <li>オプションとして、サーバに対するクライアントの認証</li>
514     </ol>
515
516     <p>第一ステップの暗号スイート取り決めによって、
517     サーバとクライアントはそれぞれにあった
518     暗号スイートを選ぶことができます。
519     SSL3.0 プロトコルの仕様書は 31 の暗号スイートを定義しています。
520     暗号スイートは以下のコンポーネントにより定義されています:</p>
521
522     <ul>
523     <li>鍵の交換手段</li>
524     <li>データ通信の暗号術</li>
525     <li>Message Authentication Code (MAC) 作成のための
526     メッセージダイジェスト</li>
527     </ul>
528
529     <p>これらの三つの要素は以下のセクションで説明されています。</p>
530 </section>
531
532 <section id="keyexchange">
533 <title>鍵の交換手段</title>
534     <p>鍵の交換手段はアプリケーションのデータ通信に使われ、
535     共有される対称暗号鍵をどのようにがクライアントとサーバで
536     取り決めるかを定義します。
537     SSL 2.0 は RSA 鍵交換しか使いませんが、
538     SSL 3.0 は (証明書が使われるときの) RSA 鍵交換や、
539     (証明書無しの場合やクライアントとサーバの事前の通信が無い場合の)
540     Diffie-Hellman 鍵交換
541     など様々な鍵交換アルゴリズムをサポートします。</p>
542
543     <p>鍵の交換方法における一つの選択肢は電子署名です。
544     電子署名を使うかどうか、また、
545     どの種類の署名を使うかという選択があります。
546     秘密鍵で署名することで共有鍵を保護し、情報交換する時の
547     マン・イン・ザ・ミドル攻撃を防ぐことができます。
548     [<a href="#AC96">AC96</a>, p516]</p>
549 </section>
550
551 <section id="ciphertransfer">
552 <title>データ通信の暗号術</title>
553     <p>SSL はセッションのメッセージの暗号化に前述した
554     対称暗号方式を用います。
555     暗号化しないという選択肢も含め九つの暗号方式の選択肢があります:</p>
556
557     <ul>
558     <li>暗号化なし</li>
559     <li>ストリーム暗号
560         <ul>
561         <li>40-bit 鍵での RC4</li>
562         <li>128-bit 鍵での RC4</li>
563         </ul></li>
564     <li>CBC ブロック暗号
565         <ul><li>40 bit 鍵での RC2</li>
566         <li>40 bit 鍵での DES</li>
567         <li>56 bit 鍵での DES</li>
568         <li>168 bit 鍵での Triple-DES</li>
569         <li>Idea (128 bit 鍵)</li>
570         <li>Fortezza (96 bit 鍵)</li>
571         </ul></li>
572     </ul>
573
574     <p>CBC とは暗号ブロック連鎖 (Cipher Block Chaining)
575      の略で、一つ前の暗号化された暗号文の一部が
576     ブロックの暗号化に使われることを意味します。
577     DES はデータ暗号化標準規格 (Data Encryption Standard)
578      [<a href="#AC96">AC96</a>, ch12] の略で、
579     DES40 や 3DES_EDE を含むいくつもの種類があります。
580     Idea は現在最高なものの一つで、暗号術的には現在ある中で
581     最も強力なものです。
582     RC2 は RSA DSI による独占的なアルゴリズムです。
583      [<a href="#AC96">AC96</a>,
584     ch13]</p>
585 </section>
586
587 <section id="digestfuntion">
588 <title>ダイジェスト関数</title>
589     <p>
590     ダイジェスト関数の選択はレコードユニットからどのようにダイジェストが生成されるかを決定します。
591     SSL は以下をサポートします:</p>
592
593     <ul>
594     <li>ダイジェストなし</li>
595     <li>MD5 (128-bit ハッシュ)</li>
596     <li>Secure Hash Algorithm (SHA-1) (160-bit ハッシュ)</li>
597     </ul>
598
599     <p>メッセージダイジェストは Message Authentication Code (MAC) 
600     の生成に使われ、メッセージと共に暗号化され、メッセージの信憑性を
601     確認し、リプレイ攻撃を防ぎます。</p>
602 </section>
603
604 <section id="handshake">
605 <title>ハンドシェークシークエンスプロトコル</title>
606     <p>ハンドシェークシークエンスは三つのプロトコルを使います:</p>
607
608     <ul>
609     <li><dfn>SSL ハンドシェークプロトコル</dfn>は
610     クライアントとサーバ間での SSL セッションの確立に使われます。</li>
611     <li><dfn>SSL 暗号仕様変更プロトコル</dfn>は
612     セッションでの暗号スイートの取り決めに使われます。</li>
613     <li><dfn>SSL 警告プロトコル</dfn>は
614     クライアントサーバ間で SSL エラーを伝達するのに使われます。</li>
615     </ul>
616
617     <p>三つのプロトコルは、アプリケーションプロトコルデータとともに、
618     <a href="#figure2">図2</a>に示すとおり <dfn>SSL レコードプロトコル</dfn>
619     でカプセル化されます。
620     カプセル化されたプロトコルはデータを検査しない
621     下層のプロトコルによってデータとして伝達されます。
622     カプセル化されたプロトコルは下層のプロトコルに関して一切関知しません。</p>
623
624     <p class="figure">
625     <img src="../images/ssl_intro_fig2.gif" alt="" width="428"
626         height="217" /><br />
627     <a id="figure2" name="figure2"><dfn>図2</dfn></a>: SSL プロトコルスタック
628     </p>
629
630     <p>
631     レコードプロトコルで SSL コントロールプロトコルがカプセル化されているということは、
632     アクティブなセッション上で再ネゴシエーションされたときにも、
633     コントロールプロトコルは安全であることを意味します。
634     既存のセッションが無い場合は、Null 暗号スイートが使われ、
635     暗号化は行なわれず、セッションが確立するまでは
636     ダイジェストも無い状態となります。</p>
637 </section>
638
639 <section id="datatransfer">
640 <title>データ通信</title>
641     <p><a href="#figure3">図3</a>に示される SSL レコードプロトコル
642     はクライアントとサーバ間のアプリケーションや
643     SSL コントロールデータの通信に使われます。
644     必要に応じてこのデータはより小さいユニットに分けられたり、
645     いくつかの高級プロトコルをまとめて一ユニットとして通信が
646     行なわれることもあります。
647     データを圧縮し、ダイジェスト署名を添付して、
648     これらのユニットを暗号化したのち、ベースとなっている
649     信頼性のあるトランスポートプロトコルを用いるかもしれません。
650     (注意: 現在メジャーな SLL 実装で圧縮をサポートしているものはありません)</p>
651
652     <p class="figure">
653     <img src="../images/ssl_intro_fig3.gif" alt="" width="423"
654         height="323" /><br />
655     <a id="figure3" name="figure3"><dfn>図 3</dfn></a>: SSL レコードプロトコル
656     </p>
657 </section>
658
659 <section id="securehttp">
660 <title>HTTP 通信の安全化</title>
661     <p>よくある SSL の使い方はブラウザとウェブサーバ間の HTTP 通信
662     の安全化です。
663     これは、従来の安全ではない HTTP の使用を除外するものではありません。
664     安全化されたもの (HTTPS と呼ばれます) は、SSL 上での普通の HTTP で、
665     URL スキームに <code>http</code> の代わりに <code>https</code>
666     を用い、サーバで別のポートを使うことです (デフォルトでは443)。
667     これが主に <module>mod_ssl</module> が Apache 
668     ウェブサーバに提供する機能です。</p>
669 </section>
670 </section>
671 <!-- /ssl -->
672
673 <section id="references">
674 <title>参考文献</title>
675 <dl>
676 <dt><a id="AC96" name="AC96">[AC96]</a></dt>
677 <dd>Bruce Schneier, <q>Applied Cryptography</q>, 2nd Edition, Wiley,
678 1996. See <a href="http://www.counterpane.com/"
679 >http://www.counterpane.com/</a> for various other materials by Bruce
680 Schneier.</dd>
681
682 <dt><a id="X208" name="X208">[X208]</a></dt>
683 <dd>ITU-T Recommendation X.208, <q>Specification of Abstract Syntax Notation
684 One (ASN.1)</q>, 1988. See for instance <a
685 href="http://www.itu.int/rec/recommendation.asp?type=items&amp;lang=e&amp;parent=T-REC-X.208-198811-I"
686 >http://www.itu.int/rec/recommendation.asp?type=items&amp;lang=e&amp;parent=T-REC-X.208-198811-I</a>.
687 </dd>
688
689 <dt><a id="X509" name="X509">[X509]</a></dt>
690 <dd>ITU-T Recommendation X.509, <q>The Directory - Authentication
691 Framework</q>. See for instance <a
692 href="http://www.itu.int/rec/recommendation.asp?type=folders&amp;lang=e&amp;parent=T-REC-X.509"
693 >http://www.itu.int/rec/recommendation.asp?type=folders&amp;lang=e&amp;parent=T-REC-X.509</a>.
694 </dd>
695
696 <dt><a id="PKCS" name="PKCS">[PKCS]</a></dt>
697 <dd><q>Public Key Cryptography Standards (PKCS)</q>, 
698 RSA Laboratories Technical Notes, See <a
699 href="http://www.rsasecurity.com/rsalabs/pkcs/"
700 >http://www.rsasecurity.com/rsalabs/pkcs/</a>.</dd>
701
702 <dt><a id="MIME" name="MIME">[MIME]</a></dt>
703 <dd>N. Freed, N. Borenstein, <q>Multipurpose Internet Mail Extensions
704 (MIME) Part One: Format of Internet Message Bodies</q>, RFC2045.
705 See for instance <a href="http://ietf.org/rfc/rfc2045.txt"
706 >http://ietf.org/rfc/rfc2045.txt</a>.</dd>
707
708 <dt><a id="SSL2" name="SSL2">[SSL2]</a></dt>
709 <dd>Kipp E.B. Hickman, <q>The SSL Protocol</q>, 1995. See <a
710 href="http://www.netscape.com/eng/security/SSL_2.html"
711 >http://www.netscape.com/eng/security/SSL_2.html</a>.</dd>
712
713 <dt><a id="SSL3" name="SSL3">[SSL3]</a></dt>
714 <dd>Alan O. Freier, Philip Karlton, Paul C. Kocher, <q>The SSL Protocol
715 Version 3.0</q>, 1996. See <a
716 href="http://www.netscape.com/eng/ssl3/draft302.txt"
717 >http://www.netscape.com/eng/ssl3/draft302.txt</a>.</dd>
718
719 <dt><a id="TLS1" name="TLS1">[TLS1]</a></dt>
720 <dd>Tim Dierks, Christopher Allen, <q>The TLS Protocol Version 1.0</q>,
721 1999. See <a href="http://ietf.org/rfc/rfc2246.txt"
722 >http://ietf.org/rfc/rfc2246.txt</a>.</dd>
723 </dl>
724 </section>
725 <!-- /references -->
726
727 </manualpage>